タイでのSNS普及率は非常に高く、日本同様生活に欠かせないツールとなっています。
タイにおいてSNSはビジネスにおいても活用されており、その状況を知ることはビジネス拡大においても非常に重要です。2024年のSNSの利用状況に関してについてこの記事では紹介いたします。
この記事のデータは、主にDatar portalが提供する2024年版タイのデジタルレポートを参考にしています。このレポートには、タイにおけるソーシャルメディアの普及率や広告リーチ、デジタル環境に関する最新の情報が詳細に記載されています。また、その他の信頼性の高いデジタル統計データや調査結果を元に、タイ市場におけるマーケティング戦略に役立つ知見をまとめました。
目次
2024年時点でのタイの人口
2024年のタイのデジタル状況
2024年のタイのソーシャルメディア利用率
・Facebook
・Instagram
・YouTube
・TikTok
・Snapchat
・X(Twitter)
ソーシャルメディア利用率のまとめ
2024年時点でのタイの人口
2024年1月時点でのタイの総人口は約7,185万人です。これは、2023年初頭から約95,000人、0.1%の増加を記録しています。
男女比は、女性が51.5%、男性が48.5%とやや女性が多い割合となっています。
人口の年齢中央値は40.5歳で、タイの社会は徐々に高齢化の進行が見られます。
さらに、バンコクを中心とする都市部と地方部の人口分布も重要なポイントです。
タイの人口の約50%が都市部に集中しており、特にバンコク首都圏には約1,070万人が居住しています。この都市集中型の人口動態は、デジタルマーケティング戦略においても大きな影響を与える要素です。
タイは近年、労働力人口の変化にも直面しています。
15歳から64歳までの労働力人口は全体の約70%を占め、消費市場の主要ターゲット層となっています。若年層の割合は少しずつ減少している一方で、中高年層の割合が増加しているため、ターゲット設定においては世代別のアプローチが必要です。
2024年のタイのデジタル状況
2024年時点で、タイの総人口の68.3%にあたる約9,781万件の携帯電話回線契約が確認されています。この数字は、タイの人口を大きく上回る携帯電話の普及率を示しており、個人が複数のデバイスを利用していることが一般的です。
インターネットユーザー数は6,321万人で、インターネット普及率は約88%に達しています。
これにより、タイは東南アジアにおけるデジタル先進国の一つとして、オンラインでのビジネス展開に非常に有望な市場となっています。
また、インターネット接続速度も非常に優れています。Ooklaが公開した2024年のデータによると、タイのインターネットユーザーが享受する接続速度は以下の通りです。
- モバイルインターネットの中央値:40.69Mbps
- 固定インターネットの接続速度の中央値:216.26Mbps
モバイルインターネット速度に関しては、前年と比べて5.1%、具体的には2.84Mbpsの増加が見られました。
このような高速インターネットのインフラは、タイ国内でのeコマースやデジタルマーケティングの発展を後押ししています。
タイ国内では多様なデジタルデバイスが利用されており、特にスマートフォンの普及率が非常に高いことが特徴です。これにより、SNSやモバイルアプリを活用したマーケティングがますます重要になっています。
2024年のタイのSNS利用率
タイにおけるトップSNSプラットフォームの広告データによると、2024年の初めにはタイでソーシャルメディアを使用している18歳以上のユーザーが約4,900万人に達しました。これは、18歳以上の総人口の約83.7%に相当します。
また、年齢を問わずタイのインターネットユーザー全体の約77.7%が、2024年1月の時点で少なくとも1つのSNSプラットフォームを使用していたことが報告されています。
タイで特に人気のあるSNSプラットフォームは次の7つです。
- YouTube
- TikTok
- Snapchat
- X(旧Twitter)
これらのSNSプラットフォームは、ビジネスや個人ユーザーにとって重要なコミュニケーションツールとして利用されており、マーケティング戦略にも大きな影響を与えています。
それぞれのプラットフォームは、異なるユーザー層に支持されているため、ターゲット層に合わせたアプローチが重要です。
以下で、これらの代表的なSNSに焦点を当て、各プラットフォームの特徴や活用方法について見ていきましょう。
2024年初頭、タイにおけるFacebookのユーザー数は4,910万人に達しました。これはタイの総人口の約68.3%に相当し、13歳以上の「適格」視聴者に限ると、その78.4%がFacebookを利用していることになります。
Facebookはタイ国内で非常に広く利用されており、多くの年齢層に支持されています。
Metaの広告データによると、2023年1月から2024年1月の間にFacebookの潜在的な広告リーチは100万人(+2.1%)増加しました。
しかし、同じ期間の2023年10月から2024年1月にかけては、広告リーチが420万人(-7.9%)減少しています。
Facebookの広告リーチが減少した理由として、Meta自体の内部的な「アカウント修正」が大きな要因とされています。これは、Facebookが広告ツールで表示するリーチ数が、実際のアクティブユーザーの数と必ずしも一致していないためです。2024年初頭に発表されたデータによると、Facebookは偽アカウントや重複アカウントの削除を強化しており、これにより広告リーチが減少していると考えられます。
広告視聴者の男女構成に関しては、2024年1月時点で女性が50.8%、男性が49.2%と、ほぼ均等に分かれています。
このため、性別に依存しない幅広いターゲット層へのアプローチが可能です。
Facebookは特に、タイで最も多くのユーザーを抱えるSNSプラットフォームの一つであり、ビジネスや広告展開において欠かせない存在となっています。企業にとって、リーチ数の変動を踏まえた柔軟な戦略が求められます。
2024年初頭、タイにおけるInstagramユーザーは1,875万人に達し、これはタイの総人口の約26.1%に相当します。13歳以上の「適格」ユーザーに限定すると、その割合は29.9%となり、Instagramは特に若年層に強い支持を得ているプラットフォームです。また、インターネットユーザー全体に対しては29.7%のリーチを達成しています。
2023年から2024年にかけて、Instagramの広告リーチは140万人(+8.1%)増加しましたが、2023年10月から2024年1月の間では180万人(-8.8%)の減少が見られました。これはMetaが行ったアカウント修正や、プラットフォーム内でのアクティブアカウントの整理が影響している可能性があります。
Instagramの性別構成は、60.6%が女性、39.4%が男性と女性ユーザーが多く、ファッションや美容、ライフスタイル関連のコンテンツが特に人気です。タイ国内ではInstagramを通じたブランド認知の向上や、インフルエンサーマーケティングが効果的な手法として広がっています。
・YouTube
2024年初頭、タイにおけるYouTubeユーザーは4,420万人に達し、これはタイの総人口の約61.5%に相当します。さらに、インターネットユーザー全体の69.9%がYouTubeを利用していることになります。YouTubeはタイ国内で最も利用されている動画プラットフォームの一つであり、エンターテインメントや情報収集の場として多くの人々に愛用されています。
2023年から2024年にかけての広告リーチは30万人(+0.7%)増加しましたが、2023年10月から2024年1月の間では大きな変動は見られませんでした。この安定した利用率は、YouTubeが引き続きタイ国内で主要なコンテンツプラットフォームとしての地位を維持していることを示しています。
広告視聴者の構成では、2024年初頭のデータによると、51.6%が女性、48.4%が男性で、ほぼ均等な割合で利用されています。このため、性別を問わず幅広いユーザーにリーチすることが可能です。
また、YouTubeの成長には、タイ国内におけるモバイルインターネットの発展も影響しています。Ooklaのデータによると、タイのモバイルインターネット速度の中央値は40.69Mbpsと比較的高速であり、これによりスマートフォンを利用した動画視聴が容易になっていることが背景にあります。
さらに、YouTubeは特に若年層の支持が高く、Z世代やミレニアル世代がエンターテインメントや教育コンテンツを求めて積極的に利用しています。マーケティングの観点からは、動画広告を活用したブランド認知の向上や、プロダクト紹介において非常に効果的なプラットフォームとされています。
・TikTok
2024年初頭、TikTokはタイで約4,438万人の18歳以上のユーザーを抱え、これは成人全体の75.8%に相当します。さらに、TikTok広告はタイのインターネットユーザー全体の70.2%にリーチしており、若年層を中心に非常に高い人気を誇ります。特にエンターテインメントや短い動画形式のコンテンツが受け入れられており、急速にユーザー数が増加しています。
2023年初頭から2024年初頭にかけて、広告リーチは410万人(+10.2%)増加しましたが、特に2023年10月から2024年1月の間には630万人(+16.5%)と急増しました。この期間には、タイ国内のユーザーが短期間で大幅に増加したことが示唆されており、TikTokの人気がさらに広がっていることがうかがえます。
TikTokの性別構成では、48.9%が女性、51.1%が男性と、ほぼ均等に利用されています。このため、性別に関わらず幅広いターゲット層を持つことができ、特に動画を活用したマーケティングが効果的です。
LinkedInは、ビジネスやプロフェッショナルなネットワーキングを目的としたソーシャルメディアプラットフォームです。タイにおけるLinkedInの利用は近年増加しており、特にビジネスやキャリア形成に関心のある層を中心に、活発に利用されています。
2023年初めから2024年初めまでの間に、LinkedInの広告リーチは**90万件(+22.0%)増加しました。また、四半期ごとのデータでは、2023年10月から2024年1月の間に広告オーディエンスがさらに30万人(+6.4%)**増加しています。これにより、LinkedInはタイ国内でもビジネス関連の広告において注目すべきプラットフォームとしての地位を強めています。
LinkedInは他のSNSプラットフォームに比べ、特にプロフェッショナル層にリーチできる点が特徴で、B2Bマーケティングやリクルートメントに効果的です。特に、成長を続けるタイのスタートアップシーンやテクノロジー分野でのネットワーキングを目指す企業にとって、LinkedInは重要なツールとなっています。
・Snapchat
Snapchatは、他のソーシャルメディアに比べてタイでは比較的小規模なプラットフォームですが、特定の若年層ユーザーにリーチするためには有効なツールです。
Snapの広告リソースによると、2024年初頭におけるタイでのSnapchatユーザー数は約61.5万人で、これはタイの総人口の0.9%に相当します。さらに、13歳以上の「適格」視聴者の1.0%がSnapchatを利用しており、広告リーチとしてはタイのインターネットユーザーベース全体の1.0%をカバーしています。
性別分布については、Snapchatの広告オーディエンスの50.3%が女性、45.7%が男性です。この性別バランスは、他のプラットフォームに比べても男女差が少なく、若年層をターゲットとしたマーケティングにおいて幅広いリーチが可能です。
ユーザー数の増加も顕著で、2023年初めから2024年初めにかけて、Snapchatの潜在的な広告リーチは9万人(+17.1%)増加しました。また、同じ期間の2023年10月から2024年1月の間でも、広告リーチは同じく9万人(+17.1%)増加しています。
ただし、これらの数字はあくまで登録メンバーに基づいており、毎月のアクティブユーザー数を直接反映しているわけではありません。このため、実際のユーザーエンゲージメントやアクティビティに関するデータと併せて評価することが必要です。
Snapchatは特に短期間でのインタラクティブなコンテンツやAR(拡張現実)を活用した広告が有効であり、若年層をターゲットにしたキャンペーンにおいては、独自の価値を持つプラットフォームです。
・X(Twitter)
2024年初頭のタイにおけるX(旧Twitter)のユーザー数は約1,468万人で、これはタイの総人口の20.4%に相当します。Xは13歳以上のユーザーが利用可能であり、この数字はタイの「適格」視聴者の約23.4%がXを使用していることを示しています。また、Xの広告リーチは、インターネットユーザー全体の23.2%に達しています。
性別構成については、Xの広告オーディエンスの約45.6%が女性、54.4%が男性となっています。ただし、このデータはユーザーのプロフィール情報やオンラインアクティビティに基づく推測に依存しているため、特にタイのような英語が主流でない国においては、性別データの信頼性に疑問が生じる場合があります。他のプラットフォーム、特にFacebookやInstagramのように正確な性別データを収集できるシステムとは異なることに注意が必要です。
Xは特に政治やニュース、エンターテインメントに関するリアルタイムの会話が行われる場として、タイ国内でも一定の人気を保っています。
また、タイでは著名なインフルエンサーや政治家がXを活用しており、社会的な関心が高いトピックにおいてユーザーのエンゲージメントが高まる傾向があります。
まとめ
タイ市場におけるデジタルマーケティングを考える際、ソーシャルメディアの活用は不可欠です。2024年のデータをもとに、主要なSNSプラットフォームの利用状況を整理しました。
- Facebookは、依然としてタイで最も多くのユーザーを抱え、特に幅広い年齢層にリーチ可能ですが、リーチ数は一時的に減少しています。特にアカウント整理の影響が大きいと考えられます。
- YouTubeは動画コンテンツの強みを活かし、特に若年層を中心に非常に高いリーチを維持しています。モバイルインターネットの普及に伴い、さらなる成長が期待されます。
- Instagramはファッションやライフスタイルのコンテンツで特に女性に支持されており、インフルエンサーマーケティングに最適なプラットフォームです。
- TikTokは急速に成長しており、エンターテインメントや短い動画形式のコンテンツで非常に高いエンゲージメントを誇ります。特に18歳以上のユーザーの大半にリーチしています。
- LinkedInはビジネスネットワーキングのプラットフォームとして、プロフェッショナル層をターゲットにしたB2Bマーケティングに適しています。
- Snapchatは若年層向けのインタラクティブなコンテンツが強みで、AR(拡張現実)を活用した広告が効果的です。
- X(旧Twitter)はリアルタイムの情報共有が得意で、特にニュースや政治に関心の高い層に人気があります。
これらのSNSプラットフォームは、それぞれ異なるターゲット層やコンテンツ形式に特化しており、効果的なマーケティング戦略を立てる際に重要な役割を果たします。タイ市場に進出する企業にとって、SNSの特徴を活かした戦略的なアプローチが、ビジネスの成功を大きく左右するでしょう。
情報ソース
DataReportal – Global Digital Insights
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